赤ちゃんは、生後半年くらいでお口の中にかわいい乳歯が生え始めます。その後、3歳前後までの約2年半で、乳歯20本がほぼ生え揃うことになります。その間も、毎日の習慣が歯並びに影響を与えます。親御さんはぜひ顎の成長に気を配ってあげてください。
母乳の吸啜の大切さ
授乳の期間は最短でも1歳過ぎまで、できれば2年以上は必要でしょう。授乳には「鼻呼吸を獲得する」、「舌筋がしっかりと発達する」、「口腔が大きく成長する」という赤ちゃんにとって重要な役割を担っています。
乳幼児・幼児でも矯正するの?
乳幼児期は不正咬合を積極的に治療することはありません。重要になるのは、歯並びを乱す原因となる悪いクセを習慣化しないよう見守ることです。乳幼児は3歳までは指しゃぶりは問題なく、3歳を過ぎれば中止させる必要があるや、うつ伏せ寝は絶対にさせてはいけない等、親御さんが知識を身に付けることが大切です。
また、幼児期になれば必要に応じて取り外し可能な装置を使っての噛み合わせ改善や、噛む力を強化するトレーニングなども行っています。いずれも、お口の状態と、お子さんの発達を考慮してご提案いたします。
京都市北区の歯医者「小佐々(こささ)歯科診療所」では、幼児・乳幼児の診療では、親御さんとの対話を大切に考えています。わからないこと、不安なことはできるだけ解消できるようお答えいたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
次のような症状があるなら要注意。赤ちゃんのお口の中で着々と不正咬合への道筋ができているかもしれません。当てはまるものがあれば、一度、当院へご相談ください。
- 上下の歯の噛み合わせが反対(下が前)になっている
- 満一歳を迎えても歯が1本も生えない
- 母乳が出なくなった
- もう虫歯がある
- よく噛まずに飲み込むクセがある
- 外傷で歯が抜けている部分がある
- 噛むことはできるが、飲み込むのがしんどそう
- 乳歯と乳歯の間に隙間がない
- いつもお口がポカンと開いている
- いつもうつ伏せで寝ている
小佐々先生が教える……年齢別!歯の成長ココがポイント!
乳児期(0~1歳) 初めての乳歯が生えてくるころ |
乳児期(1~2歳) 歯が少しずつ生えてきます |
幼児期(3~5歳) 乳歯20本が生え揃うころ |
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ここでご紹介したものは、あくまで目安です。それぞれのお子さんの発達段階に合わせて、柔軟に対処しましょう。
「狂いは小さいうちに治す」~お家で取り組める不正咬合予防
乳幼児・幼児期の発育はめざましいものがあり、この時期に大人が上手にガイドできれば、どんどん子どもの心身はよい方向へ成長を遂げます。反対に、幼児・乳幼児期に悪いクセを見過ごしたり、放置してしまったりすると、どんどんクセが強くなり不正咬合につながります。
子どもの不正咬合には、早期発見・早期対応が重要です。乳歯は永久歯に生え替わるからと気楽に考えていらっしゃる親御さんもいますが、もっとも骨の成長が著しいこの時期は、良くも悪くもその後へ発達への影響が大きいのです。ここでは、お家で取り組める不正咬合を予防できる工夫をご紹介します。
しっかり噛むこと~噛ミング30~
しっかり噛むことは顎の発達を促します。しっかり顎が発達していないと、歯がきちんと並ばずに不正咬合を起こします。片側でばかり噛むのではなく、左右均等に噛めるようにしましょう。また、舌を動かす訓練にもなります。舌の動きが活発化しますので、舌の裏の真ん中にあるすじ状のヒダである舌小帯の異常が消えたり、周辺の筋肉の発達を促したりといった効果もあります。さらに、噛む刺激は脳へとつながりますので、知能の発達にも役立ちます。
当院の予防矯正では、噛む力を強くするために、専用の装置を使うなどさまざまなトレーニングを行っています。
おしゃぶりと指しゃぶり
おしゃぶりの使用は、一般的に3歳ころから急激に減少しますので、それまではあまり気にする必要はありません。3歳くらいから少しずつ、気を逸らせるなどしてやめさせてあげましょう。
指しゃぶりは自然な乳幼児の行為です。決して悪い行為ではありません。ただ乳歯列が完成する3歳を過ぎても続いている場合には歯並びの乱れや顎の変形を招くことになります。指しゃぶりがただ習慣的な行為でなく、何らかの原因による場合があります。 この時にはその原因に答を出してやらねば、指しゃぶりを止めることにはならないのです。
もし、3歳くらいになっても指しゃぶりがなかなかやめられない場合は、自然とやめられるタイミングを作ってあげましょう。直らない場合は当院までご相談ください。
- 精神的に落ち着く
- 顎の発達促進
- 舌の筋肉が発達する
- 鼻呼吸の獲得
- 口蓋が深くなる(口腔が広くなる)
- 免疫力がつく
- 飲み込む力(嚥下力)がつく
- 舌小帯が切れ、舌が活発に動かせるようになる
- お口周りの筋肉が強化され口元が締まる
舌の動き
舌の動きは、舌小帯(舌の裏の真ん中にあるスジ状のヒダ)によってコントロールされています。舌小帯が舌の先端近くまでついていたり、舌小帯そのもの長さが短かったりすると舌の動きが制限され、舌足らずの話し方になったり、悪い舌のクセが出たりして、歯列を乱す原因となってしまいます。
舌小帯自体は、おっぱいを吸うことや指しゃぶりやおしゃぶり、舌を活発に動かすことで自然と消退していきますが、哺乳ビンでは十分な運動にならないことが多くありません。つまり、1年以上の授乳は子どもの口腔内の発達にとても大切なことなのです。舌小帯は大人になってからでも切除処置ができますが、それまでに形成されるクセを回避するためにも、早めに何らかの対処をしておいたほうが良いでしょう。
離乳食と母乳の力
母乳にはIgAという抗体が含まれており、赤ちゃんを細菌・ウイルス感染から守る大切な働きをします。しかし、お子さんが2歳ころになると抗体IgAの力が弱くなっていきます。このタイミングで離乳食に切り替えていく必要があるのです。
なお、IgA抗体はタンパク質でできているため、離乳食はタンパク質が豊富な食品を中心にすることがおすすめです。ただし、消化機能が未発達な赤ちゃんに高タンパク食品を与えるとアレルギー反応を起こしやすいので与えすぎはNG。慣れるまでは母乳と離乳食をほどよく切り替えていきましょう。
また、離乳食を食べてくれないというお悩みを持つ方は少なくないと思いますが、赤ちゃんは大人以上に食欲や体調が変動しやすいので、しっかり観察しながら、焦らず楽しい雰囲気の食事にしましょう。
このように、直接関わりがなさそうなことも、巡り巡って、歯の発達に関係しているのです。京都市北区の歯医者「小佐々(こささ)歯科診療所」では、歯や不正咬合の他にも、お子さんのお口まわりのお悩みには何でもお応えいたします。子育ての悩みやわからないことがあったら、一人で抱え込まずに、何でも気軽に当院へご相談ください。